STRATEGY
開業後の診療圏再評価ワークブック:実患者データで商圏を見直す3ステップ

目次
この記事で分かること(要約)
開業して3年以上が経過すると、自院の診療圏は確実に動きます。人口動態の変化、競合クリニックの開閉院、駅前再開発、自院の患者属性変化──こうした要因で、開業前の診療圏調査で想定した「半径3km」と実際の患者居住エリアは時とともにずれていきます。本記事は、レセコンの実患者住所データから自院の診療圏ズレを測る3ステップのワークブックです。ステップ①でレセコンから直近6か月以上の患者郵便番号を集計し、ステップ②でGoogle My Mapsに想定3km円と実患者分布を重ねて可視化し、ステップ③でギャップに基づいた集患投資配分を再設計します。読み終わるとき、自院の診療圏カバー率と次に動かすべき施策が手元に揃います。
この記事で分かる3つのこと
- 開業後に診療圏が動く4つの構造要因と、再評価の標準頻度(半年〜1年に1回)
- レセコンの実患者住所データから自院の診療圏カバー率を測る3ステップ(個人情報保護配慮つき)
- 想定診療圏とのギャップに応じた集患投資の3つの優先順位(強流入エリア集中→商圏外流入分析→弱エリア投資配分判断)
読む順序のおすすめ
- 「開業数年経って集患が伸び悩んでいる、想定と違う患者層が来ている気がする」と感じている先生 → 「開業後に診療圏は必ず動く4つの理由」章
- すぐに自院の数字を測りたい先生 → 「ステップ① レセコンから実患者住所データを抽出する」章
- 既に分析は済んでいて次の施策を決めたい先生 → 「ステップ③ ギャップに基づいた対応策3軸」章
- 新規開業を検討中の先生は別記事 → クリニックのキーワード設計3手(新規開業向け診療圏3km)
なお、本記事は当社「クリニック集客の設計図」編集部が、医療領域のWebメディア運営10年以上と支援先クリニックの経験から設計した実装ガイドです。「開業後の動的診療圏再評価」は経営仮説に基づくアプローチで、自院のレセコン・予約システムの実データで検証しながら使ってください。
【数値根拠の注記】
本記事に記載するカバー率の目安・実施頻度・サンプル数・改善幅等の数値は、当社支援先のクリニックでの観察値と厚生労働省「医療施設動態調査」・厚生労働省「患者調査」の公開データから導いたおおよその目安です。診療科・地域・開業年数・院数規模で大きく変動するため再現を保証するものではありません。本記事は2026年5月時点の個人情報保護法・医療広告ガイドラインに基づいて記載しています。
開業後に診療圏は必ず動く4つの理由
開業後3年以上が経過したクリニックでは、開業前の診療圏調査で想定した商圏と、実際の患者居住エリアは確実にずれていきます。理由は4つあります。本章では、自院でコントロール可能なものから順に並べて、再評価が必要になる構造要因を整理します。
理由①:自院の患者属性変化(自院でコントロール可能)
開業時に想定していた患者層と、3年後に実際に通っている患者層は同じではありません。一般内科で開業しても、糖尿病・高血圧の慢性疾患管理が増えれば中高年層の比率が上がり、診療科を絞れば来院距離も伸びます。逆に予防接種・健診を強化すればファミリー層と低年齢層の比率が増えます。自院の診療スタイルの変化が、そのまま商圏の質を変えていきます。
理由②:地域内の競合開閉院(中期で観察可能)
半径3km圏内のクリニック構成は、3〜5年で必ず変わります。新規開業院が出てくる地域では患者の選択肢が増え、自院のシェアは相対的に下がります。逆に閉院・移転する院が出れば、その院の患者層が近隣院に流れます。地域の医療施設マップは静的ではなく動的です。
理由③:駅前再開発・地域インフラ変化(長期で表面化)
新駅の開業、道路の開通、ショッピングセンターの開業、大型マンションの建設などは、患者の通院動線を大きく変えます。「○○駅から徒歩5分」というアクセス情報は、駅自体が新設されれば優位性が変わります。都市部のクリニックではインフラ変化が3〜5年スパンで表面化し、商圏の重心が移動します。
理由④:人口動態の変化(長期でコントロール困難)
国勢調査・住民基本台帳の動きで、地域の人口は流入・流出・高齢化が進みます。高齢者向け医療と若年者向け医療では選ばれる商圏範囲が異なるため、地域の年齢構成変化は集患エリアの再設計を促します。これは自院ではコントロールできない外部要因ですが、観察すべき動きです。
再評価の標準頻度:半年〜1年に1回
これら4つの変化を踏まえると、診療圏の再評価は 半年〜1年に1回 が業界経験則として現実的です。半年ごとなら季節要因も均せ、1年ごとなら年次経営計画と同期できます。一度評価して終わりではなく、定期的に商圏マップを更新する運用が必要です。
このステップのKPI:半年〜1年スパンでの定期再評価サイクルが院内オペレーションに組み込まれているか
実装難易度:中(運用化に意思決定が必要、初回ワークから3〜6か月で定着)
ステップ① レセコンから実患者住所データを抽出する

実患者データを使った診療圏再評価の出発点は、レセコンからの患者住所抽出です。本ステップでは、抽出範囲・個人情報保護法上の取り扱い・レセコン別の出力方向性・季節調整の考え方を整理します。
抽出範囲の標準設定
実患者の住所データは、直近6か月以上、推奨は直近12か月 を対象に抽出します。期間が短いと季節性疾患の偏りで商圏マップが歪み、長すぎると古い患者属性が混ざって現状とのズレが見えにくくなります。
サンプル数の目安は 最低50件、推奨100件以上 です。個人開業医で月20〜30件の初診があるクリニックなら、2〜3か月分で50件、6か月分で100件以上に到達します。集計対象は 直近の初診患者を主対象(再診も含めると母数が大きすぎて初診層の傾向が見えにくくなる)として、必要に応じて再診患者・健診患者を別集計します。
個人情報保護法上の取り扱い
レセコンから患者情報を抽出する際、個人情報保護法上の取り扱いを必ず確認してください。
- 自院内完結なら郵便番号レベル集計は個人情報に該当しません:氏名・電話番号・カルテ番号を外し、郵便番号7桁(または5桁)単位の集計表にすれば、個人が特定できない統計データになります
- データの保管と削除:抽出CSVは集計が終わったら削除、または院内サーバに限定保管します。スタッフ周知と運用ルール化が必要です
- 外部委託の場合は特別な配慮:コンサル委託・SaaS分析サービスに患者データを渡す場合は、業務委託契約・個人情報保護委員会への届出・暗号化通信などの厳格な配慮が必要です。外部委託をする場合は、別途、行政書士・弁護士・個人情報保護士などの専門家に相談してください
本記事は 自院内完結(院長・院内スタッフのみがデータを扱う) を前提に書いています。外部委託は本記事の対象外です。
レセコン別の出力方向性
主要レセコンには患者一覧のCSV出力機能があります。出力方向性は以下のように整理できます。具体的な操作手順・サポート窓口は契約レセコンのメーカーへ直接ご確認ください(各社で操作手順が異なるため)。
| 主要レセコン | データ出力フォーマット |
|---|---|
| メディコム | 患者一覧CSV/患者属性CSV |
| MRP | 患者基本情報CSV |
| MIC | 患者マスタCSV |
| 日レセ(ORCA) | 患者一覧CSV/SQL直接抽出可 |
| その他 | メーカーにより異なる |
本記事では「郵便番号別の初診患者数を集計する」という汎用的な処理に絞って解説します。出力したCSVをExcelまたはGoogleスプレッドシートで開き、郵便番号列をピボットテーブルで集計すれば「郵便番号→件数」のリストが完成します。
季節調整の考え方
直近6か月のデータには季節要因の偏りが含まれます。
- 11〜2月:インフルエンザ流行で内科系受診が急増
- 2〜5月:花粉症で皮膚科・耳鼻科・内科受診が増加
- 6〜9月:夏湿疹・冷房病で皮膚科・内科受診
- 健診シーズン:4〜6月(特定健診)、秋(企業健診)
6か月で実施する場合は、春秋・夏冬など季節をまたぐ期間を選ぶ ことで季節偏りを抑えられます。インフルピーク期だけ、花粉症ピーク期だけの集計は避けてください。可能なら12か月通年データを使うのが理想です。
このステップのKPI:郵便番号別の初診患者件数表(50〜100件以上のサンプル)が手元にある
実装難易度:低(レセコン操作習得+集計で1〜2時間、初回のみ)
ステップ② 想定診療圏と実患者分布のギャップ可視化

ステップ①で集計したCSVを地図上にプロットし、想定診療圏3km円と重ねて可視化します。本ステップではGoogle My Mapsの実装手順、カバー率の目安、典型ギャップパターン、外注時の費用相場を整理します。
Google My Mapsで実装する手順
Google My Maps は無料で使えるカスタム地図サービスです。実装の流れは以下です。
- 新規地図を作成:マイマップの「+新しい地図を作成」をクリック
- 自院の位置をピン:自院の住所を検索してピンを立てる
- 半径3km円を描画:Google My Mapsには厳密な円描画機能がないため、代替手段が必要です。簡易には「距離測定/ライン」機能で半径3kmのラインを引いて目視確認します。厳密な円が必要な場合は「Google Earth Pro」の距離測定→円描画機能、または
mapchart.netなどのサードパーティーツールで円画像を生成してMy Mapsの背景画像として重ねる方法があります - 実患者データをインポート:ステップ①で作ったCSV(郵便番号と件数)を「レイヤーを追加」→「インポート」で読み込む
- 件数に応じた色・サイズ分け:件数別にピンの色やサイズを変えて分類表示する(My Mapsには真のヒートマップ機能はないため、ピンの分類表示で近似する)
院長自身が初めて触る場合、30分〜2時間 の学習時間で基本操作は身に付きます(操作経験があれば30分、初めての場合は2時間程度)。複数の郵便番号を一括処理する際はExcelで前処理(郵便番号→住所変換)が必要で、ここがやや中級者向けです。
自分でやる vs 制作会社に依頼する判断
自院での実装が難しい場合、HP制作会社・MEO代行会社・データ可視化代行に外注する選択肢もあります。外注費用の相場は5〜10万円(単発、簡易レポート付き)です。継続契約(半年〜1年に1回更新)にすれば月額1〜2万円程度に抑えられます。なお、外注の場合は前述の通り個人情報保護法上の配慮が必要です。
自院判断の基準は以下です。
- 自院でやる:院長または事務スタッフにExcel・Google Maps操作経験があり、半年〜1年に1回継続実施できる体制がある
- 外注する:時間が取れない、操作習得の負担を避けたい、専門家のレポートが欲しい
想定診療圏3km円との対比:カバー率の目安
可視化した実患者分布と想定診療圏3km円を重ねると、以下のカバー率が計算できます。
- カバー率 = 想定診療圏3km円内の実患者数 ÷ 全実患者数
業界経験則として、カバー率の目安は70〜80% です。
| カバー率 | 状態 | 対応の方向 |
|---|---|---|
| 80%超 | 想定通り、商圏は安定 | 追加成長は商圏外攻略へ |
| 70〜80% | 標準的な状態 | 強流入エリアに地名指定を集中 |
| 70%未満 | 商圏ズレ大 | 想定診療圏の見直しが必要 |
3km は当社支援先での観察値および新規開業マーケティングで標準値として広く用いられる目安です。診療科・地域特性で適切な半径は異なり、小児科は2km、整形外科やリハビリは5km、地方は10kmなど業界経験則として幅があります。詳細な診療圏3km定義はクリニックのキーワード設計3手 の第1手で解説しています。
経験則として観察される典型ギャップパターン3つ
当社が支援先クリニックで観察してきた典型的なギャップパターンは以下の3つです。これらは経験則として観察される傾向であり、自院の実データで自分のパターンを発見してください。
- パターンA:南北・東西偏り — 川・線路・高速道路などの地理的障壁で、片側の患者が極端に少ない/多い偏りが出るケース。自院から3km圏内でも、患者の通院動線が物理的に分断されている
- パターンB:特定エリアの空白 — 想定診療圏内に「ほぼ患者がいないエリア」が見える。競合クリニックの密度が高い/別動線の方が便利/そのエリアの患者属性が自院と合っていない、などが原因
- パターンC:3km圏外からの流入 — 想定診療圏の外からも患者が来ている。専門性・予約のしやすさ・口コミ評価などで「遠くから来る価値」を作れている。自院の独自強みが見えるシグナル
このステップのKPI:カバー率の数値が手元にある/3km円と実患者分布の重ね地図が手元にある
実装難易度:中(自院実装で2〜3時間、外注なら1週間程度)
ステップ③ ギャップに基づいた対応策3軸

ステップ②で見えたギャップに基づき、集患投資の配分を再設計します。本章では3軸の対応策を 優先順位順 に提示します。即効性が高く負担も少ない順なので、上から手を付けてください。
軸① 最優先(即効性高い):強流入エリアへの集中投資
実患者分布で「想定以上に多く来ているエリア」が見えたら、そのエリアに地名指定の集中投資を行います。
- HPの地名タグ更新:ファーストビュー・タイトル・メタディスクリプションに強流入エリアの地名を追加(「○○駅近くの内科」「○○町から徒歩5分」など)
- GBPの地名対応:Googleビジネスプロフィールの説明文・投稿・写真キャプションに強流入エリア名を入れる
- 広告のキーワード切替:Google広告・地域メディア広告のターゲティングを強流入エリアに集中
- LINE公式アカウントの地域別配信:強流入エリアの住民向けに健康情報・休診情報を配信
期待される効果のタイミング:1〜3か月でアクセス・問い合わせの変化が見え始めます。実装難易度も低く、まず手を付けるべき軸です。
軸② 中期戦略(3〜6か月):商圏外流入の分析
ステップ②で「3km圏外から来ている患者がいる」と分かった場合、その理由を分析します。
- 問診票での来院理由の聞き取り:「どこで当院を知りましたか」「なぜ遠方から来ましたか」を初診時に確認
- 専門性・予約のしやすさ・口コミ評価のどれが効いているか整理:自院の独自強みを言語化する材料になる
- その強みをHP・GBPで強化:「○○の専門外来」「土曜午後診療」「24時間予約可」など、商圏外流入を生む要因を前面に出す
商圏外流入は「自院の独自強みのシグナル」です。これを言語化してコンテンツ化すれば、検索流入・指名検索の両方が伸びます。
軸③ 長期戦略(6か月〜1年):弱エリアの投資配分判断
「想定診療圏内なのに患者が来ないエリア」が見えた場合、そこへの投資配分を判断します。「撤退」ではなく「投資配分の選択集中」 という発想で考えてください。医療機関として患者を選ぶのではなく、限られた集患予算をどのエリアに配分するかの判断です。
- 積極的に攻めるべきか:そのエリアの人口動態・年齢構成が自院の診療内容と合うなら、地域広告・新規HPコンテンツ・地元イベント協賛などで攻める判断
- 当面は注力しないか:競合密度が高すぎる/通院動線が物理的に難しい/患者属性が合わない場合は、強流入エリアと商圏外流入の方に予算を寄せる判断
長期戦略なので6か月〜1年スパンで効果を観察します。短期で結果が出にくいエリアに集中投資するより、軸①②で成果を出してから余力で取り組むのが現実的です。
次の実装ステップへの接続
商圏分析が終わったら、具体的な集患実装フェーズに移ります。
- 集患4ステージ実装:内科クリニックのホームページ集患は再診率で決まる:4ステージ設計(初診→再診→継続→紹介の流れ)
- 地名指定MEO最適化:クリニックMEO完全ガイド(GBPの3要素と統合5戦略)
- HP表示速度+地名対応:クリニックのホームページ制作で失敗を避ける10の判断軸と規制対応(HP判断軸全般)
このステップのKPI:軸①の地名指定集中(GBP・HP・広告タイトル更新)に着手済み/軸②の問診票更新済み
実装難易度:軸①は低(数日で着手可能)、軸②は中(3〜6か月)、軸③は高(6か月〜1年)
開業前ツールと実患者データの正しい使い分け
「開業前の診療圏調査ツールはもう不要なのか?」という疑問に答えます。結論から言うと、両者は補完関係 にあります。開業前ツールは"前提"を作り、実患者データは"検証と上書き"を担います。
開業前ツールの役割と限界
クリニックステーション、メディコム、日経メディカル開業サポートなどの推計型ツールは、人口統計データ × 標準患者発生率 × 競合密度 から推計患者数を算出します。
これらのツールの 強みは「実患者がまだいない開業前」でも商圏を推計できる ことです。新規開業前・移転検討時の物件選定では必須の情報源です。
一方で 限界もあります。推計式は「標準値」と「業界平均」をベースにしているため、自院の独自性(医師の専門性・診療スタイル・予約UXなど)は反映されません。開業から3〜5年経つと、推計と実態の乖離が拡大していきます。
実患者データの役割と優位性
実患者データは推計ではなく 事実 です。自院に実際に通っている患者がどこから来ているかが、レセコンに記録されています。これに勝るデータはありません。
ただし開業前は実患者データが存在しないため、開業前は推計ツール、開業後は実患者データ という時系列の使い分けが正しい運用です。
「推計→検証」のサイクル
開業時に推計ツールで作った商圏イメージを、開業後3年・5年・10年と実患者データで検証し、必要に応じて上書きしていくサイクルが、長期的に集患を伸ばす運用です。
- 開業0〜2年目:推計ツールで作った商圏イメージで集患(実患者データはまだサンプル不足)
- 開業3年目以降:実患者データで商圏を再評価し、推計上の前提を上書き
- 開業5年目以降:半年〜1年に1回の定期再評価サイクルに組み込む
なお、実データ vs 推計の対比は、診療科別HP実態調査でも明確に現れています。当社が実施した整形外科300院HP実測調査 では、推計や業界平均では見えなかった「整形外科HPの表示速度17.25秒・CWV達成率0%」という実態が、実測データで初めて可視化されました。実データの優位性は商圏分析にも同じく当てはまります。
このステップのKPI:開業年数に応じた推計/実データの使い分けを院内で言語化できている
関連リソースと続編予告
本記事の3ステップを完了したら、次の集患実装フェーズに進みます。本記事は当社「クリニック集客の設計図」の 診療科別・クラスター記事シリーズ の一環です。
3ステップ完了の達成基準(自己チェック)
- [ ] ステップ①:レセコンから直近6〜12か月の郵便番号別初診患者集計CSVが手元にある
- [ ] ステップ②:Google My Mapsで想定3km円と実患者分布を重ねた地図が手元にある/カバー率の数値が出ている
- [ ] ステップ③:3軸対応策のうち軸①(強流入エリア集中)に着手済み(GBP・HP・広告タイトルのいずれかを地名対応で更新)
3つすべてにチェックが入れば、本ワークブックは完了です。
次に進む3つの方向
商圏分析が終わったあとの実装は、自院の優先課題によって3方向に分かれます。
- 継続来院率を上げたい → 内科クリニックのホームページ集患は再診率で決まる:4ステージ設計
- 地名×診療科の検索順位を上げたい → クリニックMEO完全ガイド
- HP本体の集患力を整えたい → クリニックのホームページ制作で失敗を避ける10の判断軸と規制対応
シリーズ予定
| 記事 | テイスト | 公開時期 |
|---|---|---|
| 整形外科 | 業界白書 | 公開済 |
| 内科 | 継続来院4ステージ設計 | 公開済 |
| 本記事:開業後の診療圏再評価 | ワークブック | 公開済 |
| 美容クリニック | 競合解剖型 | 近日公開予定 |
| 皮膚科 | 季節カレンダー型 | 近日公開予定 |
| Googleマップ上位表示 | 技術仕様書型 | 近日公開予定 |
| 産婦人科 | 編集規程型 | 近日公開予定 |
よくある質問(FAQ)
Q1. レセコンから患者住所を抽出することは個人情報保護法上問題ありませんか?
自院内完結(院長または院内スタッフのみがデータを扱う)であれば、氏名・電話番号・カルテ番号を外して郵便番号レベルの集計表にする ことで個人が特定できない統計データになり、個人情報保護法の問題は発生しません。データの保管・削除のルール化と、スタッフへの周知は必要です。コンサル委託・SaaS分析サービスなど外部委託する場合は、業務委託契約・暗号化通信などの厳格な配慮が必要なため、別途、行政書士・弁護士・個人情報保護士などの専門家にご相談ください。
Q2. 何か月分の患者データが必要ですか?
最低6か月、推奨12か月 です。6か月で実施する場合は、春秋・夏冬など季節をまたぐ期間を選んで季節要因の偏りを抑えてください。サンプル数の目安は 最低50件、推奨100件以上 で、月20〜30件の初診クリニックなら2〜6か月分で達成できます。
Q3. 商圏ズレは開業何年で起きますか?
業界経験則として、開業3〜5年で表面化 することが多いです。人口動態の変化、競合の開閉院、駅前再開発、自院の診療スタイル変化が同時に進む結果、想定診療圏と実態が徐々にずれていきます。開業1〜2年目はまだ推計値での集患設計で問題ありませんが、3年目以降は実患者データでの再評価をおすすめします。
Q4. 開業前の診療圏ツールと実患者データ、どちらが正しいですか?
両者は 補完関係 で、どちらが正しい・間違いというものではありません。開業前は実患者データが存在しないため、推計ツールで商圏を作る必要があります。開業後3年以上経過したら、実患者データで推計の前提を検証・上書きする運用が長期的に集患を伸ばします。「開業前はツール、開業後は実データ」という時系列での使い分けが正しい運用です。
Q5. 商圏外(3km超)から来る患者は集患対象に含めるべきですか?
含めるべきです。3km圏外からの流入は「自院の独自強みのシグナル」で、専門性・予約のしやすさ・口コミ評価などで「遠くから来る価値」を作れている証拠です。問診票で来院理由を聞き取り、その強みをHP・GBPで強化することで、商圏外流入はさらに伸びます。一般的な3km円という想定は標準値で、自院の特性で広がります。
Q6. ズレが分かったら何から手を付ければいいですか?
軸①の「強流入エリアへの集中投資」が最優先 です。HPの地名タグ更新、GBPの説明文・投稿への地名追加、広告ターゲティングの絞り込みなど、1〜3か月で結果が見え始めます。実装難易度も低く、すぐに着手できる施策が多くあります。軸②の「商圏外流入の分析」と軸③の「弱エリアの投資配分判断」は中長期で取り組んでください。
まとめ
開業後3年以上のクリニックは、想定診療圏と実患者分布の間にズレが必ず発生します。本記事の3ステップ──レセコンから実患者住所を抽出し、Google My Mapsで想定3km円と重ねて可視化し、ギャップに基づいて集患投資を再設計する──を、半年〜1年に1回の定期サイクルで回すことが、長期集患を伸ばす運用です。まずはステップ①、レセコンからの初診患者集計から手を付けてみてください。
最終更新:2026-05-22
監修:田中 伸欣(集客設計士 / 株式会社SUTEKi 代表取締役)
本記事は2026年5月時点の個人情報保護法・医療広告ガイドラインに基づき作成しています。最新の規制内容は個人情報保護委員会・厚生労働省ページをご確認ください。
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