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クリニックの広告の種類と費用相場は?予算の決め方から医療法の規制まで解説

クリニックの広告の種類と費用相場は?予算の決め方から医療法の規制まで解説
公開日:2026-07-09 更新日:2026-07-09 著者:田中 伸欣 目安:23分 #クリニック 広告#病院 広告#リスティング広告#広告費#医療法 広告#広告代理店

目次

  1. クリニックの広告とは?主な種類の全体像
  2. クリニックのWeb広告の種類
  3. クリニックのオフライン広告の種類
  4. クリニックの広告費用はいくらかかる?相場と予算の決め方
  5. クリニックの広告に関わる医療法の規制
  6. クリニックの広告は自分で運用するか代理店に依頼するか
  7. クリニックの広告と広告以外の施策の使い分け
  8. クリニックの広告に関するよくある質問(FAQ)

この記事で分かること(要約)

クリニックの広告には、リスティング広告や看板、チラシまで幅広い選択肢があります。費用も向き不向きも手法ごとに大きく異なるため、どれを選ぶべきか迷いやすい領域です。「うちの診療科ではどれを選べばいいのか」「広告費は平均いくらかけるものなのか」「医療法に触れずに出せる範囲はどこまでか」——開業医の先生からは、こうした疑問をよく伺います。本記事は、特定の手法を勧めるためのものではなく、院長が自院で使える広告の全体像を一枚の見取り図として把握できるよう、種類・費用相場・規制の勘所を中立に整理した情報ガイドです。

広告は短期の露出を作りやすい即効性のある手段ですが、出し続ける限りコストがかかる「消費」でもあります。だからこそ、種類と費用を正しく理解したうえで予算を組むことが、費用を無駄にしない出発点になります。

この記事で分かる3つのこと

  1. クリニックの広告の種類の全体像(Web広告とオフライン広告の2系統と、目的・診療科に合わせた選び方)
  2. 広告費の相場と予算の決め方(種類別の費用早見、地域・診療科別の平均、売上に対する割合、CPAでの費用対効果)
  3. 医療法の規制の勘所と、広告以外の施策との使い分け(禁止される表現・限定解除の考え方、自院運用か代理店か、集患資産との比較)

クリニックの広告とは?主な種類の全体像

クリニックの広告をWeb広告とオフライン広告の2系統に整理し、目的や診療科に応じた選び方の視点を示した全体マップ

結論:クリニックの広告は、大きく「Web広告」と「オフライン広告」の2系統に分けて捉えると、自院に合う手法を選びやすくなります。 個別の手法を細かく比べる前に、まずはWeb広告とオフライン広告の違いを押さえると、広告費をどこにかけるかを判断しやすくなります。

病院やクリニックの広告というと、駅の看板やチラシを思い浮かべる先生もいれば、Google検索の広告枠やInstagramの投稿を思い浮かべる先生もいるでしょう。実務では、この2系統を目的に応じて組み合わせて使うのが一般的です。この章では分類と選ぶ視点だけを示し、各手法の具体的な特徴や費用は次章以降で掘り下げます。

クリニックの広告はWeb広告とオフライン広告の2系統

クリニックが使える広告手法を俯瞰すると、次の一枚の表に集約できます。まずはこの全体マップで、自院の選択肢がどれだけあるかを把握してください。

系統主な広告手法得意なこと(役割)
Web広告リスティング広告(検索連動型)/ディスプレイ広告(バナー)/SNS広告(Meta=Instagram・Facebook)/YouTube広告(動画)検索中の患者を捕まえる/潜在層に認知を広げる/細かいターゲティングと効果測定がしやすい
オフライン広告屋外看板/交通広告(駅・電車)/デジタルサイネージ/チラシ・新聞折込/ダイレクトメール(DM)商圏内の生活動線で繰り返し接触する/地域住民への認知づくり/Webを日常的に使わない層にも届く

表のとおりWeb広告は、Google広告やMeta広告(Instagram・Facebook)、YouTube広告のように、地域・年齢・興味関心で配信対象を絞り込め、表示回数やクリック数を数字で確認しながら調整できるのが強みです。一方のオフライン広告は、交通広告や新聞折込のように、商圏内の生活者へ日常のなかで繰り返し接触できるのが持ち味です。まずはこの「調整・計測のWeb広告」と「生活動線のオフライン広告」という対比を押さえておくと、次章以降で各手法を見るときに位置づけがつかみやすくなります。

どちらが優れているという話ではなく、「今すぐ来院してほしい層」に強いのか「まだ院を知らない層」に強いのかという役割の違いで棲み分けられている、と理解しておくと選びやすくなります。

目的や診療科に合わせた広告の選び方

全体像がつかめたら、次は「自院の目的」を軸に絞り込みます。広告は目的によって向き不向きがはっきり分かれるため、以下のように整理すると判断の見当がつきます。

診療科による違いもあります。内科や整形外科のように地域の生活者が主な対象となる診療科では、リスティング広告とオフライン広告の組み合わせが基本線になりやすい傾向があります。一方、美容医療のように広域から患者を集める診療科では、SNS広告やYouTube広告といったWeb広告の比重が高くなりがちです。ただしこれは一般的な傾向であり、実際の最適解は商圏の競合状況や自院の強みによって変わります。費用や規制の詳細は後の章で扱いますので、ここでは「目的から逆算して手法を選ぶ」という視点だけ押さえてください。

クリニックの広告を目的別に選ぶ早見。顕在層にはリスティング広告、潜在層にはディスプレイ・SNS・YouTube広告、地域密着には看板・チラシが向くことを示した図


クリニックのWeb広告の種類

クリニックのWeb広告をリスティング・ディスプレイ・SNS・YouTubeに分け、顕在層と潜在層のどちらに強いかを対比した図

結論:クリニックのWeb広告は、「検索している顕在層に届く」リスティング広告と、「まだ探していない潜在層に届く」ディスプレイ・SNS・YouTube広告に大別できます。 どちらのタイプの患者を増やしたいかで、使う手法が変わります。

Web広告の最大の利点は、配信対象を地域や属性で絞り込めることと、成果を数字で追いながら予算を調整できることです。ここでは代表的な4つの手法を、それぞれどんな場面で向いているかという観点で見ていきます。

クリニックのリスティング広告(検索連動型)が向いているケース

リスティング広告は、GoogleやYahoo!の検索結果の上部に表示される「検索連動型広告」です。ユーザーが「地域名+診療科」「症状名+病院」といったキーワードで検索したときに表示されるため、すでに受診を検討している顕在層に直接アプローチできるのが最大の特徴です。

向いているのは、次のような場面です。

課金はクリック単位(クリックされて初めて費用が発生する仕組み)が基本で、日予算や月予算を自分で設定できるため、小さく始めて反応を見ながら調整できます。一方で、キーワードによっては1クリックあたりの単価が高くなることもあり、美容医療など競合の多い領域ではクリック単価が上昇しやすい傾向があります。リスティング広告の費用相場は、後述の費用の章で具体的に触れます。

クリニックのリスティング広告の仕組み。患者が地域名や症状で検索し、検索結果の上部に広告が表示され、クリックから来院につながる流れを示した図

ディスプレイ広告(バナー)で認知を広げる方法

ディスプレイ広告は、ニュースサイトやブログ、アプリなどの広告枠に画像(バナー)として表示される広告です。リスティング広告が「探している人」に届くのに対し、ディスプレイ広告は地域や年代、興味関心を指定して、まだ検索していない層に認知を広げるのに向いています。

たとえば「この地域に住む30〜40代の子育て世代」といった条件で配信対象を設定し、自院のバナーを繰り返し表示することで、地域内での知名度を少しずつ高めていく使い方ができます。画像で伝えられるぶん、院の雰囲気やロゴを視覚的に印象づけやすいのも利点です。ただし、探している人に届くリスティング広告に比べると、すぐの来院にはつながりにくく、認知の積み上げを目的とした中長期の施策として位置づけるのが現実的です。

SNS広告(Meta広告)とYouTube広告の使いどころ

SNS広告は、Meta広告(Instagram・Facebook)が代表格です。ユーザーの年齢・地域・興味関心にもとづいて配信できるため、ライフスタイルや悩みに寄り添った訴求で潜在層を掘り起こすのに向いています。美容医療や自由診療のように「まだ受診を決めていないが関心はある」層が厚い診療科と相性が良い手法です。

YouTube広告は、動画で伝えられるのが強みです。院内の様子や医師の説明、施術・検査の流れなどを動画で見せることで、文字や画像だけでは伝わりにくい安心感や専門性を届けやすくなります。動画クリエイティブ(広告用の動画素材)の制作にはコストと手間がかかりますが、一度作れば複数の媒体で使い回せる資産にもなります。

SNS広告・YouTube広告に共通する注意点として、医療の広告は媒体側の審査が比較的厳しく、表現によっては掲載が通らないことがあります。これは後述する医療法の規制とは別に、媒体独自のポリシーによるものです。この線引きは規制の章で改めて整理します。


クリニックのオフライン広告の種類

屋外看板・交通広告・サイネージ・チラシ・DMなどクリニックのオフライン広告を商圏内の生活動線に沿って整理した図

結論:クリニックのオフライン広告は、看板や交通広告などの「屋外で目に触れる広告」と、チラシや新聞折込などの「手元に届く紙媒体」に大別できます。 いずれも商圏内の地域住民に繰り返し接触できるのが持ち味で、地域密着型の診療科と相性が良い手法です。

Web広告が普及した今も、オフライン広告は地域集患を考えるうえで有力な選択肢です。特に、Webを日常的に使わない高齢層や、通勤・通学の動線上にいる生活者に届けたい場合には、屋外・紙媒体ならではの強みがあります。

看板や交通広告などの屋外広告

屋外で人の目に触れる広告には、次のようなものがあります。

屋外広告は掲出期間の契約で費用が決まるのが一般的で、立地や媒体の規模によって金額の幅が大きくなります。効果が数字で見えにくいぶん、「どのエリアの、どんな人に見てほしいか」を明確にしてから出稿場所を選ぶことが、費用を無駄にしないポイントです。

チラシや新聞折込などの紙媒体広告

手元に届く紙媒体の広告には、次のようなものがあります。

紙媒体は、配布部数と印刷・配布の単価で費用が決まります。ここで重要になるのが広告のデザインです。限られた紙面で「何科の、どんな悩みに応える院か」が一目で伝わらなければ、手に取ってもらえません。写真や図で診療内容を視覚的に示し、地図・診療時間・予約方法といった来院に必要な情報を過不足なく載せることが、反応に影響する要素になります。ただし、後述する医療法の規制は紙媒体にも同じく及ぶため、表現には注意が必要です。


クリニックの広告費用はいくらかかる?相場と予算の決め方

クリニックの広告費を種類別の費用早見と、地域密着型・美容系の月額相場・売上比率・CPAで多面的に整理した費用マップ

結論:クリニックの広告費は手法・診療科・商圏で大きく変わります。目安としては、地域密着型のクリニックで月20〜60万円、美容系のクリニックで月80〜300万円ほどの幅で考えられます。 ただしこの月額は複数の広告を組み合わせた全体予算の目安で、実際の費用は種類ごとに積み上げて判断します。

費用を急いで知りたい先生のために、まずは各広告の費用が種類ごとにどう発生するかを、おおまかな目安として先に示します。

広告の種類費用の目安(月額・1回あたり)費用の考え方別途かかりやすい費用
リスティング広告月5万〜数十万円クリック課金。日予算・月予算で自分で調整できる代理店に頼む場合は運用手数料
ディスプレイ・SNS広告月5万〜数十万円表示・クリック課金。配信量に応じて変動バナー・クリエイティブの制作費
YouTube広告月10万円〜視聴課金動画(クリエイティブ)の制作費
屋外看板・交通広告月数万〜数十万円掲出期間の契約。立地・媒体規模で幅が大きいデザイン・制作・掲出費
チラシ・新聞折込1回あたり数万〜数十万円配布部数×単価デザイン・印刷費

※上記は一般的に語られる目安であり、地域・媒体・出稿量・時期によって大きく変動します。広告費そのものだけでなく、制作費や代理店手数料が別途かかる点も見落とさないよう、正確な金額は各媒体・業者への見積もりで確認してください。

先ほどの月20〜60万円といった予算感は、こうした複数の広告を組み合わせた総額の目安です。種類別の費用の発生の仕方をつかんだうえで、ここからは「自院ではいくらが妥当か」を判断するために、月額の平均・売上に対する割合・CPA(費用対効果)という3つの角度から掘り下げます。

診療科と地域で変わるクリニックの広告費の平均

広告費の平均は、診療科と商圏の性質で大きく分かれます。よく一つの目安とされるのが、次の水準です。

この差は、集める患者の範囲(商圏)と競合の多さの違いから生まれます。地域の生活者を対象とする診療科は限られた商圏で足りますが、広域から集患する美容医療などは、それだけ広告の競争が激しく、単価も上がりやすいためです。

リスティング広告単体の平均費用を切り出すと、月5万円程度の小規模から始める院もあれば、競合の多いキーワードで月数十万円以上を投じる院もあり、幅があります。クリック単価はキーワードの競合度で決まるため、「地域名+一般診療科」より「美容・自由診療の施術名」のほうが高くなる、という傾向を押さえておくと予算の見当がつきやすくなります。いずれの数字も断定できる相場ではなく、あくまで幅のある目安として捉えてください。

売上に対する広告費の割合はどのくらい?

金額の絶対額だけでなく、売上に対する広告費(広告宣伝費)の割合で予算を考える方法もあります。これは「自院の規模に対して広告にかけすぎていないか」を確認するための視点です。

一般に、広告費は売上の数パーセントから10%程度の範囲で語られることが多く、開業直後は認知獲得のために割合が高くなり、経営が安定して自然な来院が増えるにつれて割合を下げていく、という推移が一つのモデルです。ただし適正な割合は診療科・立地・開業からの年数によって大きく変わるため、「何%が正解」と一律に決められるものではありません。

割合で管理するメリットは、売上と連動して広告費の上限を持てることです。売上が伸びていないのに広告費だけが膨らんでいる、という状態に早く気づけるため、感覚ではなく数字で予算の妥当性を点検できます。集客にかける費用を月次の指標として管理する考え方は、数字で見るクリニック集客の設計図でも扱っています。

顧客獲得単価で見る広告の費用対効果

割合が「規模に対する使いすぎ」を見る指標だとすれば、CPA(顧客獲得単価)は「一人の新患を獲得するのにいくらかかったか」を見る、別の角度の指標です。次の式で算出します。

たとえば月20万円のリスティング広告で新患が10名増えたなら、CPAは2万円です。同じ20万円でも5名なら4万円、20名なら1万円となり、広告ごとの獲得効率を比較する手がかりになります。

CPAは、金額だけで判断しないことがポイントです。患者一人が将来もたらす価値(LTV)とのバランスで見ると、良し悪しを正しく評価できます。再来院が見込める診療科であれば、多少CPAが高くても十分に見合いますが、単発受診が中心でLTVが小さい診療科では、同じCPAでも採算が合わないことがあります。割合(規模の管理)とCPA(1件あたりの効率)は別の角度の指標なので、両方を併せて見ることで、広告費を「かけすぎ」と「効率が悪い」の両面から点検できます。CPAと売上比率を軸にしたROIの判断は、クリニックの集患はSEO vs 広告どちらが正解?でより詳しく整理しています。

クリニックの広告費対効果を測る2つの見方。売上に対する割合で規模を管理し、CPA(顧客獲得単価)で新患1件あたりの効率を見る違いを示した図


クリニックの広告に関わる医療法の規制

医療法で禁止される広告表現の勘所と限定解除の考え方、媒体審査基準との線引きを整理した規制マップ

結論:クリニックの広告は医療法(医療広告ガイドライン)の規制対象で、誇大表現や比較優良広告のほか、体験談や、必要な説明を欠いた術前術後(ビフォーアフター)写真などが特に問題になりやすい表現です。 ここでは違反にならないための「勘所」を押さえることに絞り、個別の違反類型の詳細は専門記事に譲ります。

医療広告は、患者が受ける情報の正確性が健康に直結するため、一般の商品広告より厳しく規制されています。すべての類型を網羅的に暗記する必要はありませんが、「どこに地雷があるか」の見取り図を持っておくことが、無用な違反を避ける第一歩です。

誇大や比較優良などの禁止される広告表現

医療法の広告規制で、特に注意したい代表的な禁止表現には次のようなものがあります。

これらは「集患に効きそう」だからこそ使いたくなる表現ですが、医療広告では規制の対象です。とりわけ体験談や比較優良、誇大表現は避けるべきで、術前術後(ビフォーアフター)写真も、必要な説明を欠く形での掲載は問題になりやすい点に注意が必要です。禁止される表現の全類型と、ホームページ上での具体的な直し方については、医療広告ガイドライン違反8類型|クリニックHP直し方チェックで詳しく解説しています。本記事は種類と費用が主題のため、規制はこの勘所にとどめ、詳細はそちらに譲ります。

限定解除で広告できる範囲

医療広告には、原則として広告できる事項が限定されていますが、一定の要件を満たすと、通常は広告できない詳細な情報も掲載できるようになる仕組みがあります。これを限定解除と呼びます。

たとえば、患者が自ら求めて検索・閲覧するホームページなどで、問い合わせ先を明記し、自由診療については料金や治療のリスク・副作用まで併せて示す、といった要件を満たすことで、広告できる範囲が広がります。ここで大切なのは、限定解除は「何でも書いてよくなる」ものではなく、あくまで所定の情報を正しく併記することが条件だという点です。要件の詳細は前掲の医療広告ガイドラインの記事で確認してください。

リスティング広告で使えないNGキーワード

リスティング広告で「使えないキーワードや表現」は、実はひとつの基準で決まるわけではありません。院長が混同しやすいのが、「医療法上の禁止表現」と「広告媒体の審査基準(媒体ポリシー)」は別物だという点です。この2つを切り分けて理解しておくと、なぜ広告が止められたのか、どの表現がNGなのかを正しく判断できます。

具体的には、「必ず治る」「絶対」といった効果保証、「最安」「No.1」「地域で一番」などの最上級・比較優良の語、体験談にあたる表現は、医療法・媒体ポリシーのいずれか(多くは両方)で使えないと考えておくと安全です。つまり、「法律ではセーフでも媒体では通らない」「媒体は通っても医療法上はアウト」という食い違いが起こり得ます。リスティング広告のキーワードや広告文を作るときは、この両方をクリアする必要がある、と押さえておいてください。可否の細かな判断は媒体の最新ポリシーとガイドラインの一次情報で確認するのが確実です。

クリニックの広告表現は医療法(法規制)と媒体の審査基準(媒体ポリシー)という2つの関門を両方通す必要があることを示した図


クリニックの広告は自分で運用するか代理店に依頼するか

クリニックの広告を自院で運用する場合と代理店に依頼する場合の手間・費用・専門性を比較した判断図

結論:クリニックの広告運用には「自院で運用する」「代理店に依頼する」の2つの道があり、かけられる手間と広告費の規模で選ぶのが基本です。 少額から試すなら自院運用、規模が大きく専門的な運用が必要なら代理店、という切り分けが目安になります。

どちらにも一長一短があり、どちらが正解ということはありません。自院の状況に合わせて、まずは小さく始めて必要に応じて外部に頼る、という進め方が現実的です。なお、自院運用でも代理店依頼でも、広告表現が医療法・媒体ポリシーに沿っているかの確認は欠かせません。

クリニックの広告を自分で運用する場合の進め方

自院でリスティング広告やSNS広告を運用する場合、おおまかな流れは次のようになります。

  1. 目的と対象を決める……「地域名+診療科で来院を増やす」など、目的と狙う患者層を具体化します。
  2. キーワード・配信対象を設定する……検索されそうなキーワードや、配信する地域・年齢を設定します。
  3. 広告文・バナーを作る……医療法と媒体ポリシーの両方に配慮した表現で作成します。
  4. 少額でスタートし、数字を見て調整する……日予算を小さく設定し、クリック数やCPAを見ながら改善していきます。

特に開業時は、自院サイトが検索で見つかるまでに時間がかかるため、開業告知と初動の集患を兼ねてリスティング広告やチラシを小さく始める院が多く見られます。自院運用のメリットは、代理店手数料がかからず費用を抑えられることと、運用のノウハウが自院に蓄積することです。一方で、設定や改善に手間と学習が必要なため、院長やスタッフの時間をどれだけ割けるかが現実的な制約になります。運用の戦略設計を含めて手が回らない場合は、次の代理店への依頼を検討することになります。

クリニックが広告を自院で運用する場合の4ステップ。目的と対象を決める、キーワードと配信対象を設定する、広告文とバナーを作る、少額でスタートし数字を見て調整する、という流れを示した図

広告代理店に依頼する場合の手数料と選び方

広告代理店に依頼する場合は、広告費とは別に運用の手数料が発生します。手数料は、運用型広告では広告費の20%程度が一つの目安として語られることが多いものの、固定手数料・最低手数料・広告以外の制作費の有無などで総額は変わります。たとえば月50万円の広告を運用してもらう場合、別途10万円前後の手数料がかかる、というイメージです。

代理店を選ぶときの観点は、社名や規模で決めるのではなく、次のような中立的な基準で見ることをおすすめします。

特定の代理店を順位づけて推す情報も世の中にはありますが、自院の診療科・商圏・予算に合うかどうかは個別に判断すべきもので、ランキングをそのまま鵜呑みにするのは避けたほうが安全です。複数社から見積もりと運用方針を聞き、比較したうえで選ぶのが確実です。


クリニックの広告と広告以外の施策の使い分け

広告と自然検索・口コミなどの集患資産を、即効性と資産性の軸で使い分ける考え方を示した図

結論:広告は即効性がある一方で出し続ける限りコストがかかるため、広告費を継続的に投下する前に、資産として積み上がる施策(自然検索・口コミ)との使い分けを考えておくことが、予算配分を誤らない鍵になります。 広告だけに依存する状態は、止めた瞬間に新患も止まるという弱さを抱えます。

ここで広告以外の話に触れるのは、広告を「消費」ととらえたとき、対になる「資産」を持っておくことで、長期的に広告費を抑えられる可能性があるからです。この章では判断の入り口だけを示し、それぞれの詳しい育て方は専門記事に譲ります。

広告と自然検索はどちらを先に強化すべき?

広告(リスティングなど)と自然検索(SEO)は、性質が正反対です。広告は出稿した瞬間に露出でき即効性がありますが、止めれば露出も消えます。自然検索は上位に育つまで時間がかかりますが、育てば追加コストなしで流入を生み続ける「資産」になります。

どちらを先に強化すべきかは、院の状況で変わります。開業直後で今すぐ新患が必要なら広告の即効性が要りますし、経営が安定して長期の集患基盤を作りたいなら自然検索への投資が効いてきます。多くの院にとっては二者択一ではなく、開業初期は広告の比率を高め、自然検索や口コミが育つにつれて広告比率を下げていくという配分の調整が現実的な解になります。この投資配分やROIの比較、撤退の判断基準については、クリニックの集患はSEO vs 広告どちらが正解?で判断フローとして詳しく整理しています。

広告に頼らない自院サイトや口コミなどの集患資産

広告費を継続的にかけ続ける前に、一度作れば長く効く「集患資産」という選択肢も視野に入れておくと、予算の全体設計が変わります。代表的なのは次の3つです。

これらの土台となる自院サイトそのものの設計については、クリニックのホームページ制作にかかる費用と選び方も参考になります。広告と集患資産は対立するものではなく、広告で今の新患を確保しながら、並行して資産を育てて広告への依存度を下げていく、という両輪で考えるのが得策です。どの施策から着手すべきか自院の状況に合わせて整理したい場合は、集患全体の相談を受け付けている無料相談のページも参考になります。

クリニックの広告と集患資産を両輪で回し、開業初期は広告の比率を高め、自然検索や口コミが育つほど広告の比率を下げていく時間配分を示した図


クリニックの広告に関するよくある質問(FAQ)

最後に、クリニックの広告に関して院長からよく寄せられる質問に、中立的な考え方でお答えします。なお、以下の質問はいずれも、医療法の広告規制だけでなく、あはき法・柔道整復師法・薬機法といった別の法律が関わるテーマです。クリニック(医療機関)の広告規制とは射程が異なるため、ここでは入口だけを整理します。

クリニック(医療機関)の医療法と、整体院・接骨院のあはき法や柔道整復師法、医薬品・医療機器の薬機法など、広告規制の射程の違いを整理した図

整体院や接骨院の広告も医療法の対象になる?

整体院や接骨院の広告は、医療機関を対象とする医療法とは別の枠組みで考える必要があります。国家資格に基づく施術所(接骨院・整骨院など)は、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律(あはき法)や柔道整復師法などが広告のルールを定めており、広告できる事項がこれらの法律で制限されています。一方、資格を要しない整体・リラクゼーションは、これらの法律や景品表示法などの一般的な規制が関わってきます。いずれにせよ、クリニック(医療機関)の医療法の広告規制とは別の枠組みになるため、施術所の広告を検討する場合は、該当する法律を個別に確認してください。

医薬品や医療機器の広告はどこまで可能?

医薬品や医療機器そのものを広告する場合は、医療法ではなく薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の確認が必要です。薬機法では、承認された効能・効果の範囲を超えた表現や誇大な広告が問題になり、一般向けに広告できる医薬品の範囲も定められています。クリニックが自院の診療内容を広告する場合と、医薬品・医療機器を広告する場合とでは、適用される法律が異なるため、混同しないことが重要です。医薬品・医療機器に関する具体的な表現の可否は、薬機法および関連する広告基準の一次情報で確認するのが確実です。